機体のスパー(桁)が完成するまでの流れ
機体のスパーはCFRP材を用いていました。
設計
これは、自分の所属していたチームの場合は詳しい設計担当者の方が計算式とかエクセルシートを用いて行っていました。
マンドレルの型紙製作
マンドレルを製作するうえで型となる型紙を製作します。
マンドレルパーツ製作(楕円抜き)
先程製作した型紙を発泡スチロールの両面に貼り合わせて、スライダックにつないだニクロム線を使って、発泡スチロールからマンドレル(楕円)を抜きます。できたものは断面が楕円の円柱状で、テーパーがついているかどうかは、設計次第です。
ほぞ抜き用の型紙製作
マンドレル同士を接合できるように、凹凸状のほぞを両端に抜く際の型紙を製作します。
ほぞ抜き
マンドレルを製作するときと同様に、マンドレル同士を接合できるような凹凸状のほぞを型紙に合わせてスライダックにつないだニクロム線で抜きます。
チャンネル材のセッティング
マンドレルを接合していくための場所として、チャンネル材をまっすぐに接合して固定します。
楕円つなぎ
ここまでで完成していたマンドレルを接合して、数mのマンドレルを完成させます。
バギングフィルム巻き付け
後で真空引きができるように、バギング用のフィルムをマンドレルに巻きつけておきます。
離型フィルム巻き付け
スパーが完成した後に、マンドレルが簡単に剥がれるようにプリプレグと剥がれやすい素材のフィルムを巻き付けていきます。
プリプレグカット
プリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート)をマンドレルに巻きつける大きさに合うようにカットします。
プリプレグ積層
プリプレグを設計通りの繊維方向になるようにマンドレルに積層していきます。
銀テープの貼り付け
基準の線が分かるように、三角形の銀テープを貼り付けておきます。
離型布巻き付け
この後に巻きつける樹脂の吸着材がプリプレグから剥がれるように、布を巻き付けます。
樹脂吸着材(布団)巻き付け
プリプレグ硬化の際の余分な樹脂を吸着させるためのものを巻き付けます。
バギングフィルム巻き付け・バギング
外側からバギングフィルムを巻きます。
この後の焼きの最中にプリプレグを真空にできるようにプリプレグの内側のバギングフィルムと外側のバギングフィルムを接着して、袋詰めを行います。
真空引き
プリプレグを真空バギングすることで、空気からの圧力がスパーにかかるようにします。
窯の組み立てと設営
プリプレグの焼きをするために、自作の窯を組み立てます。だいたい屋外です。
焼き
発泡スチロール製のマンドレルが変形しない低温でプリプレグを硬化させ(プレキュア)、その後高温でプリプレグを硬化させます。(ポストキュア)
マンドレル取り出し
加熱されて縮んだマンドレルをスパーの中からシュルシュルと抜きます。
線引き
その後のさししろの調整などの目安になるように、スパーに線をひきます。
さししろ、角度調整
スパーを接合した際のささりしろの長さや、スパーがまっすぐに接合できるように調整します。
全さし
主翼の部分の桁をすべてつなげて全長を測定し、中心部分やリブの取り付け位置を確認します。
T字焼き&乗り込み・脚のマウント焼き
主翼桁のうち中心のスパーに胴体がささるT字状の短いスパーや、脚や乗り込みが取り付けられるようなマウント(台座)を取り付けて、CFRPを積層し、焼きます。
荷重試験
飛行時に桁にかかる荷重を想定して、1Gや1.5Gの荷重を桁にかけます。
尾翼用台座取り付け
尾翼を取り付けられるような台座を調整して取り付け、CFRPを積層し、焼きます。
ねじり止め(フランジ)取り付け
スパー同士を接合した際に、固定ができ、またねじれないようにするためのフランジを取り付けます。
上反角焼き
主翼の桁に上反角をつける場合は、上反角焼きを行います。