流れの分類について

気体や液体などの流体は、その性質によっていくつかの分類ができます。

一次元流・二次元流・三次元流

一次元流とは、流れに垂直な断面内において、圧力、密度、温度、速度などが一様な流れのことです。

管内の流れを扱う場合、この一次元流として考える場合が多いです。管の太さが変化する場合も、流れに垂直な断面内で流れに関する様々な量が一様である場合、一次元流として扱うことができます。

二次元流とは、平面内における流れのような、座標でいうとxyの2方向を考慮する必要がある流れです。圧力、密度、温度、速度などは2つの方向それぞれで考える必要があります。翼断面に関する流れは2次元流で考えることができます。

三次元流とは、一般的な流れであり、座標でいうとxyzの3方向を考慮する必要がある流れです。圧力、密度、温度、速度などは3つの方向それぞれで考える必要があります。翼端やカウル(フェアリング)、有害抵抗などに関する流れは3次元流で考える場合が多いです。

粘性流・非粘性流

粘性流とは、粘性を考慮した流れです。

非粘性流とは粘性を考慮せずに単純化した流れです。非粘性流体のことを理想流体ということがあります。非粘性流の場合は、流体が板などの物体と接していても、接している箇所と接していない箇所の流体の速度は同じと考えます。

粘性とは流体の変形に対する抵抗を示す性質です。

板に沿って液体が流れると、流体は板の上で速度が0になり、板から離れるにつれて速度Vに近づきます。これは流体に粘性があるからです。

運動している流体の互いに接している層の間には、速度にずれが生じます。そして隣り合う流体の層には、流れに平行な力が働き、滑り合うのを妨げようとします。この流れに平行な力を摩擦力、粘性力などといいます。このような力を単位面積あたりに表したものを摩擦応力またはせん断応力といいます。

圧縮流・非圧縮流

流体は圧力を加えると変形する性質があります。同じ流体でも、液体は変形しても体積はほとんど変わりませんが、気体は容易に体積が変化します。このように体積の変わる性質を圧縮性といい、圧縮性をもつ流体の流れを圧縮流といいます。

圧縮性のない流体のことを非圧縮流といいます。

一般的に液体の流れは非圧縮流、気体の流れは圧縮流として扱いますが、速度の遅い気体の流れは非圧縮流として扱うこともあります。

流体力学では、単位質量あたりの体積である比体積を用いる場合が多いです。圧縮流はこの比体積が変化する流れであり、非圧縮流は比体積が変化しない流れということができます。比体積をv、流体の密度を\rhoとすると、\rho v =1であるため、比体積が変化するということは、密度が変化するということもできます。そのため、非圧縮流は密度が一定、圧縮流は密度が変化するとして扱うこともあります。

低常流・非定常流

 時間的に流れのようすが変化せずに一定であるものを低常流といいます。また、時間的に流れのようすが変化するものを非定常流といいます。

一般の流れの非定常流ですが、扱いが簡単な低常流として流れを扱う場合も多いです。

亜音速流・遷音速流・超音速流

亜音速流とは、流体の速度が音速より遅い流れです。

超音速流とは、流体の速度が音速より速い流れです。

遷音速流とは、音速付近の流れであり、音速と同じ速度の流れをはさんで、音速より少し遅い亜音速流と音速より少し速い超音速流を含む流れです。

遷音速流はマッハ数でいうと、0.8から1.2程度の流れであることが多いです。

また、遷音速流や超音速流では衝撃波を伴う現象が発生することがあります。