境界層と翼の性能への影響

境界層とは

境界層とは、物体近傍の、粘性の影響を無視できない狭い領域の速度の遅い層のことです。

空気には、小さいですが粘性があります。そのため、翼などの物体に空気が流れると、表面の速度は0になります。しかしながら、物体から少し離れた外側の流れの速度は物体の影響を考える必要のない非粘性流体とみなすことができます。この非粘性流体とみなすことができる領域を除いた狭い領域の層が境界層になります。

境界層と翼の性能

この境界層の剥離などが翼の性能に大きく影響を与えます。

境界層は薄く、外側の流れの圧力がそのまま伝わります。

境界層の外側の流れが、下流に向かって減速していく場合、流れに沿って圧力が高くなり、境界層内の流れはその圧力上昇に逆らって流れます。そのため、境界層の流れは運動エネルギーを失っていき、停止します。

境界層の流れが停止した場合、圧力の高い下流部分が圧力の低い上流方向に逆流する現象が起き、流れが表面から剥離します。

境界層が物体表面から剥離すると、外側の流れの様子を大きく変化させ、さらに境界層の流れに影響を与えます。

このようなことを繰り返す結果、流れの下流に渦が発生したり、渦が壊れたりすることで物体後部で圧力が低くなって抵抗が生じることになります。