ダランベールのパラドックス・逆理・背理について

ダランベールのパラドックス

ダランベールのパラドックス (ダランベールの逆理、ダランベールの背理) とは完全流体中を一定速度で進行する物体や、一様な一定速度の流れの中におかれた物体は抵抗などの、はたらく力が 0 になるという逆理です。

例として円柱まわりの流れについて考えます。

流れが円柱の表面に沿って流れていると考えると、前方と後方によどみ点ができます。

そのため円柱の上下では全く同じ流れの状況となるはずです。

上下左右全く同じ流れの状況ということになります。つまり、対応する位置における流れの速度は同じということになります。

円柱表面の圧力分布も、上下左右で全く同じとなるはずです。この圧力分布を円柱の表面まわりに積分すると、抵抗は全く反省発生しないということになります。

この抵抗が発生しないという結果は、現実の事実と反しています。

実在の流体では粘性が小さくても、 物体面に、薄くて速度勾配が大きく、 粘性摩擦のはたらく境界層が存在します。

また、境界層が剥離すると大きな抵抗を生じます。

他に高速気流では衝撃波による造波抵抗も存在します。加速運動などの非定常運動をする物体にも力がはたらきます。