二次元翼と揚力・抗力・モーメント

二次元翼と揚力・抗力・モーメント

翼型は翼の断面形です。この翼型だけで翼の空力特性などを考える場合、この翼を二次元翼といいます。ちなみに翼型と翼の平面形をあわせて考える場合、その翼を三次元翼といいます。

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 翼型のコード(翼弦線)に対して、空気が角度\alphaの方向から速度Vで流れてくる場合を考えます。このとき翼型に対して力Rが発生します。この力Rは揚力Lと抗力Rに分解できます。

また、翼をある点で支えようとすると、力Rによってその点まわりに翼をまわそうとするモーメントが発生します。

角度\alphaのことを迎角といい、迎角の大きさは翼型の揚力、抗力、モーメントに影響します。また、揚力、抗力、モーメントを考えるために、揚力係数C_L、抗力係数(抵抗係数)C_D、モーメント係数C_mという3つの係数を考え、翼型の性能はこれらの係数が迎角に対してどのように変化するかなどをグラフにすることで議論します。

揚力

揚力Lと揚力係数C_Lの間には次の関係があります。

\displaystyle L = \frac{1}{2} \rho V^2 S C_L

ここで、\rhoは空気密度、\displaystyle \frac{1}{2} \rho V^2は動圧といわれる量となります。またSは翼面積です。翼面積は、翼型を連ねて翼を作ったときに、その翼を真上(コードを含む平面)から射影したときの面積になります。

抗力

抗力Dと抗力係数C_Dの間には次の関係があります。

\displaystyle D = \frac{1}{2} \rho V^2 S C_D

ここでの\rhoなどの値は揚力の場合と同じです。

モーメント

風速と迎角が一定の条件下で、翼に発生する力Rが一定となっても、モーメントはどの点まわりのモーメントを考えるかによって値が異なります。

そのため、一般的には通常の迎角の範囲内で迎角を変化させても、この点まわりのモーメントが一定となるような点を考えます。 この点を空力中心といいます。

一般的な翼型では、空力中心は前縁から測って、コード長の25%程度の位置にあるため、空力中心まわりのモーメントではなく幾何学的にコード長の25%の点まわりのモーメントを考える場合もあります。

点まわりのモーメントMとそのモーメントに対するモーメント係数C_mの間には次の関係があります。

\displaystyle M = \frac{1}{2} \rho V^2 S C C_m

ここで、コード長をCとしています。 また、一般的にモーメントは前縁の頭上げ方向(前縁をあげる方向)を正ととります。

翼の性能は、揚力係数C_L、抗力係数C_D、モーメント係数C_mの3つの係数で表されます。これらの係数は実験的には、風洞という一様な風を送り出せる装置を使い、揚力、抗力、モーメントなどを測定した後に式から計算で求められます。