航空機とその分類、揚力について

航空機とは

人が乗って、大気中を飛行する乗り物の総称が航空機である。

航空機は、大気中を浮き、前進する必要がある。そのために2つの力が必要である。

航空機が大気中に浮くためには、その重量を支える浮遊力が必要である。

航空機が大気中を前進するためには、空気抵抗に打ち勝つだけの推進力が必要である。

航空機の分類について

航空機は利用する揚力の種類によって、大きく2つに分けられる。

航空機のうち、静的揚力を利用するものを軽航空機(lighter-than-aircraft、LTA)、

動的揚力を利用するものを重航空機(heavier-than-aircraft、HTA)という。

軽航空機のうち、推進装置のないものを気球、推進装置のあるものを飛行船という。

重航空機のうち、固定翼をもつものを固定翼機、回転翼をもつものを回転翼機、噴流の反動による浮揚力を利用するものを垂直離着陸機(vertical take-off and landing、VTOL機)もしくは短距離離着陸機(short take-off and landing、STOL機)とよぶ。

さらに、固定翼機をもつもののうち、推進装置のないものをグライダーもしくは滑空機、推進装置のあるものを飛行機とよぶ。

回転翼をもつものには、回転翼を原動機で回す方式のヘリコプターと回転翼は自由回転させ、別に推進用のプロペラをもっているものをオートジャイロという。

軽航空機と静的揚力について

軽航空機は、空気より軽い航空機という意味である。

軽航空機が利用する静的揚力(静的浮力)は、アルキメデスの原理に基づく浮力である。そのため、軽航空機は密閉した空気が外部に漏れない気密性のガス袋を利用する。このガス袋は気のうといわれる。気のうに水素やヘリウムなど空気より軽いガスを詰めることで、空気の静的浮力で軽航空機が空中に浮くことができる。

重航空機と動的揚力について

動的揚力は、単に揚力ともよばれる。揚力は、物体のまわりに流体が流れるときに生ずる浮揚力である。重航空機はこの動的揚力を利用して、飛行する。

一様な流れの中に物体が置かれると、その付近の流速が変化する。そのため物体表面の流速も場所によって変化する。これは速度分布といわれる。速度の大きいところは速度の小さいところに比べて、圧力が低くなる。つまり速度分布により圧力分布が発生する。こうして生じた圧力分布が、物体の上面と下面で異なるため揚力が発生する。

翼(よく)は効率的に動的揚力を発生する物体である。この翼の断面形のことを翼型という。翼型は一般的に下面より上面の方が湾曲が大きい。こういった翼では、上面に沿う流速は下面より大きくなる。このため、圧力分布が生じ揚力が発生する。