翼とよどみ点
ここでは翼を渦と結びつけて考えるということが行われます。
まず無限に長い翼幅をもつ翼が動く場合を考えます。
このとき、翼の前縁と翼の後縁に速度が0となるよどみ点が見られます。翼の後縁のよどみ点は翼の上面側に発生し、流れは後縁の下から上にまわりこみます。しかしながら、しばらくすると後縁から渦が発生し、翼の下流に流れ出していき、後縁がよどみ点となって、流れはなめらかになります。
このとき、翼の下流に放出された渦が存在しています。翼と下流の渦を含む領域には、最初は渦がありませんでした。ここで渦の合計は0でなければならないという渦理論があるため、翼のまわりには流れ出た渦と同じ強さ、逆向きの渦が存在しているということになります。この翼のまわりの渦は、翼まわりの循環といわれます。
循環とクッタの条件・ジューコフスキーの仮定
循環とは、流れの中に閉曲線をとり、その閉曲線に沿って速度の接続成分をひとまわり積分した量です。この強さは流れが翼の後縁からなめらかに流れるように決まります。このように翼まわりの循環が決まることを、クッタの条件もしくはジューコフスキーの仮定といいます。 つまり、この考えでは翼を渦とみなしているといえます。
クッタ・ジューコフスキーの定理では、一様な速度の中に、循環をもつ翼があると、速度の直角方向に揚力が発生します。翼幅の単位長さあたりに発生するこの揚力の大きさは、流体の密度とすると、次の式で表すことができます。