安全率・基準応力・許容応力について

安全率について

材料や構造物、機械を実際に使用する時に、どの程度の応力ならば安全に使用できるかを表す指標の一つとして安全率 (安全係数) が使われています。安全率は材料の試験によって求められる安全に使用できる応力だけでなく、材料のばらつきや試験と実際の使用での違いなども考慮して決められています。

材料力学では、この安全率(f)は材料の基準応力(\sigma _s)と許容応力(\sigma _a)の比で求められる係数となります。安全率と基準応力、許容応力の関係を式で表すと、次のようになります。

\displaystyle f = \frac{\sigma _s}{\sigma _a} 

安全率の値が大きくなるように設計すると、信頼性は高くなりますが、材料の重量が大きくなる場合が多いです。一方で、航空機は軽量であることと、安全性が高いことの両方が求められるため、一般構造部分の安全率は1.5程度で設計されています。

ただし、航空機は定期的な部品交換や、検査、厳密にマニュアル化された整備など運用や、破壊が起こっても、致命的な破壊にならず、安全側に壊れるような工夫によって高い安全性が保たれています。

基準応力と安全率と許容応力

材料や構造物、機械が安全に機能する限界の応力を許容応力といいます。この許容応力を決定する際の基準となる応力を基準応力といいます。

まず基準応力は、材料の性質や予想される負荷、使用する環境などの条件を考慮して決定されます。そして、様々な要素を考慮して、安全率が決められ、安全率 (f) と基準応力 (\sigma _s) から次の式のように許容応力 (\sigma _a) が定義されます。

\displaystyle \sigma _a = \frac{\sigma _s}{f}