やる気に関する知識(内発的動機づけ・外発的動機づけ・アンダーマイニング効果・エンハンシング効果)

内発的動機づけと外発的動機づけ

意欲ややる気について考える際には、内発的動機づけ外発的動機づけという心理学用語がよく出てきます。

内発的動機づけとは、活動そのものが活動の動機づけとなっている場合のことをいいます。これと対照的な用語が外発的動機づけです。

外発的動機づけとは、賞罰や報酬などの外的な要因が、活動の動機づけとなっている場合のことをいいます。

例えば、数学の問題が解けることが嬉しく、数学の問題を解くという活動に魅力を感じて、それが動機となっている場合は内発的動機づけによるものということになります。

一方で、大学の数学の講義の試験で良い成績を収めるために、数学の問題を解いている場合は、良い成績という報酬のために、数学の問題を解くという活動を行っており、外発的動機づけによるものということになります。

このように外発的動機づけの場合は、報酬や賞罰など他に目指すものがあり、活動は手段ということになります。そのため、活動そのものが報酬のようになっている内発的動機づけの場合は、活動への意欲が失われにくいのに対し、外発的動機づけの場合は、外発的な報酬などがなくなると活動への意欲が失われやすいということに注意が必要です。

もう一つの注意点として、この内発的動機づけと外発的動機づけが個人の中で共存している場合も多くあります。また、外発的動機づけから内発的動機づけに変化する場合も多くあります。

アンダーマイニング効果とエンハンシング効果

動機づけに関連する効果として、アンダーマイニング効果エンハンシング効果というものがあります。

アンダーマイニング効果とは、内発的に動機づけられている人に、外発的動機づけを行うとマイナスの効果がある、つまり外的な報酬が内発的動機づけを低下させるという効果のことをいいます。

1960年ごろまでは、外的な報酬が内発的動機づけを高めると考えられていました。しかし、その後の実験で、アンダーマイニング効果が発見されました。

しかし、すべての外的な報酬がアンダーマイニング効果を示すわけではありません。

言語報酬などの外的な要因が内発的動機づけを高めるということが報告され、この効果をエンハンシング効果といいます。エンハンシング効果は具体的には、言葉で褒めた場合によって、内発的動機づけが高まるという効果です。

動機づけと自己決定性

 外発的動機づけの中にも自己決定性が高いものから低いものまで存在し、自己決定性が高い外発的動機づけは内発的動機づけに近いということが提唱されています。
また、内発的動機づけを高める要素として次の2+1の要素が挙げられる場合があります。

  1. 自己決定性 自分で主体的に決定し、行動できること
  2. 有能性 行動を通して有能感を感じられること
  3. 関係性 仲間との関係が楽しいこと(ただしこれ単独での効果は弱いとされる)

 まとめ

人間の心理は複雑なので、実験などから研究されている内容が必ずしも全員に適用できるとはいいません。それでも、例えばサークル活動でやる気を持っているメンバーが少なくて困ったときに、対応を考える参考にはなると思います。